T.T先生編
走幅跳びイメージ
走幅跳は、助走・踏切準備・踏切・空中動作・着地と区切って考えるのではなく、「助走から着地に至る一連の動きが1つのもの(動作に途切れる場面がない)」というイメージです。また、遠くに跳ぶための基本はスプリント力だと思いますが、約40mの助走開始から着地までをしっかりイメージして走れる感性を持つことも大切だと思います。
さらに、「腰」が入った状態を、どの場面でも作るようにすることも大切だと思います。
@ 助走
1) 助走の出だし3〜4歩を大切にします。1歩ごとに加速していくイメージを持ち、上体を大きく使う。また、少ない歩数でスピードに乗せなくてはいけないので、力ずくではなく、リラックスしてリズムよく出て行くイメージです。私の感覚としては、体幹がまずきっちり決まり、腹筋で走り始める感じです。
2) 中間疾走では、走りを大きく、リズミカルに行う。足が「流れる」というイメージはなく、接地の瞬間と腕振りのタイミングが合えば、勝手に加速していく感じです。このとき、「腰」がしっかりと入っていることを確認します。
3) 踏切4歩前まで、スピード、リズムを維持していきます。
A 踏切板へのアプローチ
1) とにかく力まないように。踏切前5〜3歩あたりから、スピードアップ(ストライドからピッチアップ)がなされていくことが大切ですが、このことをあまりにも意識しようとすると、逆に身体に力が加わって、力みにつながり、助走の最後の最後で「上下に暴れて前方には進まない状態」に陥ることが多いです。イメージとしては、助走中盤で得られたスピードとリズムを維持して、踏切板を駆け抜ける(駆け上がる)ような感じです。やはり助走中間でのリラックスが大事になると思います。
2) ただ、踏切5〜3歩あたりからは、気持ち上体を立てる意識を強く持つようにします。よく、「骨盤を垂直にする」とか「骨盤を立てる」とか言いますが、そんな意識です。私としては、そこまで細かくは考えず、踏切が近づくことで、無意識的に上体が踏切準備を始め、微妙に上体が後傾し始めながら踏切板にアプローチしていくのを避けるために、意識的に上体をかぶせるようなイメージです。この先、すぐに踏切があり、前方に跳び出していくことを考えると、結構勇気がいることかもしれませんが、これが意識的から無意識的に出来るようになれば、助走終盤での速度低下を小さくすることが出来ると考えています。
3) 踏切1歩前の足をどう置くか、ですが、私としては、腰が入った状態で「足の裏全体を置くだけ」というイメージです。あくまで、踏切の準備をするための1歩前的な感じです。接地の意識としても、無理やり沈み込んだり、上下動を作ったりではなく、気持ち良く加速してきたところに、スッと置いて踏切準備に入る、そんな意識です。
B 踏切
助走で得られたスピードを踏切る瞬間まで高い次元で維持できれば、8〜9割方跳べると思っています。
1) 踏切では、「頭から踏切足までが1本の線になるようにしっかり突っ張る」という話を良く聞きます。これによって、踏切動作が始まる瞬間は、身体はやや後傾気味で入っていくわけですが、私のイメージとしてはもっと攻めて、踏切足が接地したときには上体はほぼ垂直にまで起きているか、やや前傾まで攻める、です。あくまで感覚(イメージ)ですが。
2) 1)のイメージで踏切に入れると、かなりのスピードで跳び出すことができると思います。「起き上がり」スピードがかなり速い分、身体には前方回転の力が働きます。上半身と下半身の動きが上手く一致しない場合、この前方回転の力は怖いもので、砂場に頭から突っ込むような気がするのですが、これを経験するとしないでは、自身の内的スピード感覚を高められないので、必要不可欠な感覚だと思います。
3) この前方回転を正しい跳び出しの力に変えるためには、「振り上げ足の速さ」と「上体の使い方」が大切になってきます。また、「踏切足」も常に途切れることなく連動していかなければいけないと考えています。
4) 振り上げ足を跳躍距離に活かすために大切なことは、振り上げ足の膝の角度を鋭角にすることだと思います。ただ、高く振り上げようとするあまり、腰が下がることも多いので、あくまで必要な高さに、必要なスピードで振り上げることが大切になると思います。イメージとしては、モモを高く引き上げるのではなく、「振り上げ足の踵を素早くお尻に直線的に引き上げる」です。これによって、モモもある程度高い位置に振り上げられるのではないかと思います。そして、振り上げ足とは反対の腕が、肩とともに斜め上方に引き上げられ、身体が上方に跳び出す助けとなるのが理想です。
5) 踏切足のイメージは、「接地時間は出来るだけ短く、瞬間的に行う」です。よく短助走・中助走ドリル等で踏み切った足をそのまま残し、振り上げ足をキープする跳躍練習をしますが、実際の跳躍にこんな動作はあり得ないので、イメージつくりとしてはあまり用いない方が良い気がしています。
6) 踏切った足は、踏切板から素早く離し、踵を巻き込みながら直線的に前方に持っていくことで、振り上げ足と踏切足が連動して空中動作に繋がると思います。常に前に移動するこの動きでは、絶対に踏切足を踏切ったままにしない、また蹴り上げないことを意識付けることが大切かと思います。